社会保険の適用事業所にいつも使用される従業員は賃金の額や本人の意思、そして国籍も問わないことになります。健康保険だけ入って、厚生年金は加入しない、などのことも不可能です。
厚生年金保険のかけ捨てを防ぐため、「脱退一時金」という制度があります。日本国籍を持っていない短期在留の外国人で、厚生年金の被保険者期間が6カ月以上になると同時に、年金受給の権利を持っていない時は、日本を出国した後2年以内に請求することが可能です。外国人労働者が厚生年金保険に入りたがらない場合、このような制度を説明して説得するしか方法はありません。
二重加入・掛け捨てを防ぐため社会保障協定を締結している国もあります。社会保障協定締結国から一時派遣された労働者の場合、厚生年金の加入は免除されます。他にも、保険期間の通算を行う制度がありますので、社会保障協定締結国からの労働者の場合は、確認をする必要があります。
雇用保険も、国籍に関わらず適用されることが原則です。しかし、下記のようなケースは雇用保険の加入は不可能です。
(1)外国の公務員、外国の失業保険が適用されることが明らかにされている人
(2)外国の雇用関係が成り立ってから、日本内の事務所に赴任した労働者:外国で現地採用された日本人もこのケースに当てはまります。
社会保険に入っている法人は、年金事務所の調査をされるケースがあります。出勤簿や労働者名簿、賃金台帳などの書類をチェックし、社会保険料が適切に計算・申告されているかが調べられます。適用漏れが見つかった場合、2年間さかのぼって適用するような指示が出され、2年間の保険料の徴収が行われます。
*脱退一時金
外国人で、厚生年金の適用がされる人は、年金受給の権利を持たず、基幹が6カ月以上であれば脱退一時金を請求することが可能です。
額数は、下記のように計算されます。
支給率{(前の年の10月の保険料率×0.5)×被保険者期間月数に対応した数}×平均標準報酬額
被保険者期間月数
6カ月以上~12が月未満:6
12カ月以上~18が月未満:12
18カ月以上~24が月未満:18
24カ月以上~30が月未満:24
30カ月以上~36が月未満:30
36カ月以上:36
しかし、下記のケースに当てはまる人は、脱退一時金の請求は不可能です。
(1)日本国内に住所を持っている場合
(2)障害厚生年金とその他の政令の規定による保険給付を貰う権利を持ったことがある場合
(3)最後に国民年金の被保険者資格を失った日から2年が過ぎた場合
(4)厚生年金保険法の年金の保険給付に当たる給付を貰うことだけを目的として外国の法令の適用がされる人や、貰ったことのある人で政令の規定によるものである場合