インターンシップ制度は、企業などの場で行われる学生の教育活動という意味があり、夏休みなどの長期の休暇期間を活用し、インターンシップ制度を行う企業に学生が申し込んで成立されます。大学のカリキュラムに入れて、単位取得などに活用されるケースもあります。
学生の立場からみると、実地体験をすることで自分に合う就職先を考えることが可能となり、就職活動の時も有利に作用するなどの長所があります。会社側からみても、採用後のミスマッチが避けられ、優秀な人材の採用が可能な機会にもなります。
教育の一環になるインターンシップ制度を活用する学生は、厳密にいうと労働者ではないことから、労働基準法などの労働法の適用対象からは外されます。実習する途中事故が発生しても、労働保険法は適用されません。このようなインターンシップ制度の学生の労働者性に関して、下記のような通達があります(1997年9月18日 基発636号)
「一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者には該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業における利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ、また、この判断は、個々の実態に即して行う必要がある。」
直接生産活動に務め、会社が指揮の命令を行うのであれば、インターンという名前を問わず労働者と同様の扱いになります。これを受け、従業員と同級の仕事をさせ、給与を支払わないことは違法となります。制定賃金法の基準を上回る給与の支払いが必要となります。
なお、研修施設など企業内の事故に関しても、会社の過失があると認められれば損害賠償の責任が生じます。インターンシップ制度を行う時に、このような事故のリスクも考えて、実習の範囲を決めた方が望ましいです。インターンシップ中の事故に対し、学生や大学が損害保険・賠償責任保険などに加入しているかを確認することがポイントです。
実践的なインターンシップ制度を行いたい時は、労働保険が適用され、労働法違反のリスクがないアルバイトとして雇い入れることもいい対案です。