試用期間中の従業員の態度が悪くて、試用期間が終われば本採用をしないつもりです。この場合、これは解雇になるのでしょうか。

入社退社

試用期間が終わった後や試用期間内の本採用拒否は、解雇に当てはまります。本採用の前であろうとも、解雇は自由にできません。しかも、「やる気が見られないようだ」「微妙にやる気が感じられない」などの主観的な事由の解雇は無効となります。この場合の解雇も、「客観的に妥当性がある事由で、社会通念上適切であると見られる場合」であることが要求されます。
過去の裁判例でも、試用期間中の雇用契約にたいして「解約権が留保された雇用契約」になり、留保された解約権に従う解雇は、通常解雇に比べて広範囲における解雇の事由が可能となっています。
留保解約権の行使は、企業が採用決定後の調査の結果で・使用中の勤務状態などで、当初知れなかった事実を知った場合、その人を継続して当該企業に雇用することは妥当でないと判断されることに合理性があるときとなっています。このことから、面接ではわからなかった事実で、従業員として採用するには不適格であると考えられるものが試用期間の土中に発覚した時、本採用の拒否が可能となるわけです。この事例では、対象従業員が本採用することが難しい客観的な事由がない限り、本採用をするか、解雇予告手当を支払う必要があります。
試用期間中は、従業員に教育を行う期間でもある事から、解雇の時に会社が行った指導に関しても問われることになります。適切な教育・指導を行っていて、それでも改善の見込みがない場合は本採用拒否をしますが、教育の有無に関係なく雇い入れてから14日が経過していれば解雇予告制度が適用されます。

*過去の裁判例:大同木材工業事件―1970.10.6 松江地裁)
試用期間中であった従業員Aの職場・寮生活の協調性が欠けていることを事由とした解雇は、就業規則の普通解雇にすることができるとした裁判例
―最初の作業に関して、上司の指示・指導に背けて同僚との間にトラブルを起こした
―寮生と日常の挨拶もほとんど交わさず、レクリエーションにも参加しない。両性の行動使用の洗濯機を独り占めして譲らないこともあった
―チームで行う仕事に関して、調和を乱して個人プレーになり、上司の指導にも背けて態度を改めようとしなかった。

これらの証拠で、会社は30日以上前に予告をすることで雇用契約を解釈することが可能となりました。

「雇用期間の規定のない雇用契約に関しては、使用者に労基法第20条第1項に基づいて少なくとも30日前にその予告をし、当該の雇用契約の解約の申し入れが可能で、労働契約、就業規則、労働協約などで右解約の申し入れの理由に従って制限が付せられていない以上、使用者は予告解雇の自由を持ち、右解雇が解約権濫用に当らない以上有効なものとすることを相当とするところ、試用期間は労働者の職務上の人物や能力を判断することが目的で設けられたものであるが、労働契約と別個契約ではなく、試用を始めた時から労働契約が結ばれているもので、これを受け本件就業規則中の普通解雇に関する規定は、試用工にも適用されるものと考えることが可能である。」