採用の面接の時に、応募者の両親の職業を尋ねることは違法なのでしょうか。

入社退社

採用の基準に関しては、会社の裁量で決めることが可能で、採用自体の可否も任意で決められます。ただし、面接で就職差別になりがちな質問をしたり、必要以上とされるプライバシーなことを聞いたりすることをなくす配慮は必要となります。
これは職業安定法第5条の4で、「その業務の目的の達成に必要な範囲内」として定められていて、この範囲内で使用・保管・収集を行うべきとされています。
なお、男女雇用機会均等法第5条でも「労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」の規定があり、面接のときに「結婚の予定の有無」などを女性にだけ質問することは不可能です。
面接の担当者は、採用の基準と同時に、質問の項目をあらかじめ決めて、実際に必要でない質問をしないように注意する必要があります。男女差別、人種差別、人権問題に触れるようにすれば、インターネット上の書き込みやクレーム、訴訟にまで拡大する可能性もあります。

これに対し、厚生労働省からは下記のような配慮事項を上げています。

<a.本人に責任のない事項の把握>
・本籍・出生地に関すること(注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること
<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合・学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
<c.採用選考の方法>
・身元調査などの実施(注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施