正社員用とパートタイマー用の就業規則が区分されていれば、問題の発生可能性は極めて低いと思われますが、パートタイマー用の就業規則がなければ、個別の労働契約では正社員と違う待遇があったとしても、正社員の就業規則の適用対象になる可能性があります。
こ れに関して、労働基準法第93条に「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効と なった部分は、就業規則で定める基準による」とされています。これを受け、正社員だけを対象として適用させる退職金、休職制度なども、全従業員を適用対象 とするという解釈が可能な余地があります。
つまり、パートタイマー用の就業規則を別に作成しなくとも、正社員用の就業規則が適用させる場合があります。これを避けるためには、正社員用の事項を作りたい時、「但し、パートタイマには適用しない」などの文句を入れることが必要です。
しかし、トラブルを防ぐためには、正社員用の就業規則を基礎としたパートタイマー用の就業規則を予め作成しておくことが望ましいと言えます。
*規定の優先順番:法令>労働協約>就業規則>個別の労働契約
*就業規則の種類:事務所や作業場の職場で適用されるルールや労働条件に対する全ての規則をきめたもので、慶弔金規程・旅費規程・賃金規程が含まれます。な お、パートタイマーなどの雇用形態に従って労働条件も変更されることを受け、拡雇用形態別に適用される就業規則が要求されます。
全ての規定を一つの就業規則におくことはかなり大変なことで、本体には委託の規定をおいてそれにしたがって別規定を決めるのが普通です。しかし、別規模も就業規則の一部には含まれますので、管轄労働基準監督署に提出しなければなりません。
詳しくは、下記のようになります。
●賃金規程‐賃金に対する事項。
●育児・介護休業規程‐育児・介護休業は全会社が定めておかなければならない事項。運用については詳細な規定が要求され、別規程にした方が望ましい。
●慶弔金規程‐慶弔見舞金に対する規程。
●個人情報保護規程:個人情報保護法に従う規程。
●旅費規程‐出張旅費に関する規程。海外出張に対しても別途必要。
●退職金規程‐退職金関連規定があれば、就業規則に記す必要あり。