期間が定められている雇用契約の場合、その契約期間は3年以内にすることが原則となっています。しかし、下記の例外以外の労働者は労働契約期間の最初の日から1年が過ぎた後、いつでも退職が可能となります。例外として、満60歳以上となる労働者との契約と高度の専門知識などを有している労働者との契約は上限が5年まで上がります。
専門知識を持っている労働者であるかを判断する基準として、厚生労働大臣から定められる7つの要件があります。
1.博士の学位を持っている人
2.アクチュアリーやシステムアナリストの資格試験に合格している人
3.登録意匠の創作者、登録品種の育成者、特許発明の発明者、
4.システムエンジニアの実務の経験5年以上を持つシステムコンサルタントで、年収が10,750,000円以上の人
5.医師、薬剤師、獣医師、弁護士、税理士、歯科医師、一級建築士、公認会計士、不動産鑑定士、社会保険労務士、技術士や弁理士
6.大学卒で5年、短大・高専卒で6年、高卒で7年以上の実務経験を持つ機械・電気・建築・農林水産業・鉱工業・土木の技術者、システムエンジニアまたはデザイナーで、年収が10,750,000円以上の人
7.国等で知識などが優れたものであると認定され、上記1~6までに掲げる人に同級ものとして厚生労働省労働基準局長から認められる人
それに、一定事務完了に要る期間を決める労働契約になります。
期間が決められている雇用契約は、仕方ない事由がない限りその期間の雇用を保障する義務が生じます。事由が会社側の過失によるものであれば、民法第628条(当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。)によって損害賠償の責任も生じます。
従業員側からは、退職の事由が限られるという短所があります。しかし、1年が過ぎた後は使用者に申し出を行うことで、退職はいつでも可能となります。2004年の改正労働基準法で、雇用契約の上限が1年から3年になり、暫定措置として講じられています。
*労働基準法第137条:一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、1年を超える期間の有期労働契約を締結した労働者(高度の専門的知識等を有する労働者及び満60歳以上の労働者を除く)は、民法第628条の規定にかかわらず、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後は、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。