求人の広告に載せた給与条件は、実際の雇用の際にそのまま適用しなければならないのでしょうか。

入社退社

求人サイトや新聞などに広告を出したり、ハローワークに求人票を出すとき、労働時間や賃金額などの一定労働条件を載せて募集を行います。それを求職者は確認して、検討の判断材料にするわけです。
法律的には、この募集する行為を「労働契約申し込みの誘引」とし、求職者が応募をすることは「契約の申込み」にします。これを受け、求人広告で広く求職者に伝えた労働条件は、すぐ採用後の労働条件になるとは確言できません。募集のときに定めていた能力に達していないなどの事由で、求人広告より低額の賃金を決めることはできます。
しかし、求人広告の労働条件と違う労働条件に関して明らかに示され、合意を基に労働契約を結ぶことでなければ、トラブルの原因になる可能性が高いです。この同意を得ないときは、求人広告の労働条件で労働契約が結ばれたと同様の扱いになります。過去の裁判例でも、(千代田工業事件:1963年10月19日 大阪地裁)「公共職業安定所の紹介により成立した労働契約の内容は、当事者間において求人票記載の労働条件を明確に変更し、これと異なる合意をする等特段の事情がない限り、求人票記載の労働条件の通り定められたものと解すべきである」と言い渡されたことがあります。
労働契約を結ぶときは、一定労働条件に関して書面の明示を行うことも義務となっています。
面接を行うとき、期待していた能力に達していないときは、求人広告に載せられている労働条件を下回る場合があることを説明することがポイントとなります。

*ハローワーク求人の申込みの手続き
1.事業所登録:最初に求人票を提出するときは、事業所登録が要求されます。
2.求人票の作成:労働時間と賃金、試用期間、休日の有無などの条件を記します。性別の限定や、年齢の制限を付けることはできません。
3.求人票の公開:ハローワーク内の情報端末・掲示板などで公開がされます。
4.ハローワークからの紹介:応募があれば、ハローワークから連絡が来ます。応募者は紹介状を持って、面接などに来ます。ここからは一般の採用の流れと同様です。
5.ハローワークへの連絡:採用が決まった時は、雇用予定日など、採用をしないと決めたときはその事由を記して、ハローワークにFAXで連絡します。