民法第656条の定義による業務委託は、委託者によって特定業務を処理することを委託され、他の人の命令・指揮を受けることなく、自分の道具を使用して、委 託者に特定業務を処理するということです。委託者から依頼を受けて業務をする人は個人事業主となり、労働者にはなりません。これによって、会社は社会保険 や休日労働・残業による手当などの負担を負う必要がなくなります。
また、在宅勤務は労働者が自分の時間の一部や全部を使用し、自宅の情報通 信機器で業務を処理する勤務形態のことです。この場合、会社との契約は雇用契約になり、時間外労働や給仕の手当、社会保険など労働基準法の適用対象になり ます。在宅勤務をしている途中の労働災害は、労働保険が支払われる対象に含まれます。
労働者であるかどうかの判断に関しては、その名称が業 務委託社員などとされていても、一般社員の同様な時間管理がされ、詳しい指揮・命令をされている実態であれば、労働者と判断されることとなります。過去の 裁判例(東海技研事件:20033年8月1日―大阪地裁)でも、「労務の提供者が、『労働者』といえるか否かは、契約の形式によって当然に決まるものでは なく、労働関係の実態において、会社と当該労務提供者との間に使用従属関係が実質的に存在するか否かによって決せられるべきものである」となっています。 この裁判で業務委託契約を締結していた人からの、」従業員とした地位確認請求が却下されています。これに関しては、「本件契約の場合、会社に具体的な指揮 監督権が認められず、報酬が完全歩合制であることなどから、雇用関係があるとは言えない」とされています。
委託業務に対する労働者性の判断基準は、下記のようになります。
*代替性の有無
*労働時間管理などの拘束性の有無
*業務遂行をするときの指揮命令の有無
*他の事業主の業務の従事が禁止されているかの有無
*本人が持っている器具や機械などの使用が認められているかの有無
*仕事の業務従事、依頼の指示などに対する諾否の自由の有無
*報酬の労働対償性の有無(月給、日給、時給などで計算されているか)