従業員を雇用した当初は試用期間を置いて、その期間中に適格性・能力を判断し、本採用に履行するようにしているケースは多く見られます。試用期間中に解雇したり、試用期間が過ぎた後に本採用を拒否したりするのは、本採用後の解雇に比較すれば判断の基準が緩くなりますが、解雇に当たることは変わりません。従業員の解雇を行う時は、労働基準法第20条によって、少なくとも30日の前に予告をするか、30日以上分の解雇予告手当を支払う必要があります。
解雇予告制度の適用対象から除かれる場合の中に、労働基準法第21条に基づく「試用期間中の従業員の解雇」がありますが、これは雇用した日から14日以内となっています。就業規則に定められた解雇の事由に当たる事実が明らかになっても、14日を経過してしまうと、解雇の時に解雇予告制度が適用されるようになります。
この事例では、偽造の事実が発覚されたのが入社後14日以降となってしまったので、解雇予告制度が適用されます。就業規則などの事項に係ることとなって懲戒解雇をする時は、労働基準監督署に「解雇予告除外認定」を出して認められれば、解雇予告手当の支払いは必要なくなります。
このようなリスクを防止するためには、必要書類を14日以内に確認できるようにする必要があります。就業規則などに「従業員は、会社が定めた書類を入社日○日に提出する義務がある」などと定めることがポイントです。尚、妥当な理由なく、提出期限を過ぎてしまう時は、懲戒処分をすることも規定としていれます。
入社のときに提出させる書類には、下記のようなものが挙げられています。
(1)履歴書
(2)誓約書
(3)身分保証書
(4)健康診断書
(5)給与の振込依頼書
(6)職務経歴書(前職があったら)
(7)住民票記載事項の証明書
(8)通勤経路・通勤費の申請書
(9)成績証明書・卒業証明書(新卒の場合)
(10)給与所得者の扶養控除など(異動)申告書
(11)健康保険被扶養者(異動)届(扶養に入る人がいる場合)
(12)源泉徴収票(採用年に他社からの給与所得がある場合)
(13)雇用保険被保険者証(以前に雇用保険に加入していた場合)
(14)年金手帳(以前に国民年金または厚生年金に加入していた場合)