「移籍出向」とも言われている転籍は、これまで勤めていた会社を退職し、転籍先の会社との間で新しい労働契約を結ぶことを言います。元の会社との雇用契約が維持される在籍出向とは違って、就業規則などで包括的な同意ではなく、従業員個別の同意が必須となります。
企 業組織を再編する必要が生じたとき、ある部門を別の会社にして、その部門に属していた従業員を転籍させるようなことが最近増加していますが、この時も一方 的に転籍を強要したり、命令することは不可能です。転籍に対して拒否の意思を示した従業員を解雇するときは、整理解雇のときと同様に4要素を考慮して判断 されます。過去の裁判例(千代田化工建設事件:1994年12月20日‐最高裁)でも、特定の部門を子会社化し、その部門の従業員を転籍されるとき転籍を 拒んだ従業員に対する解雇は、無効であるということがあります。
転籍を拒否する従業員に対しては、合意が得られる待遇などを考えるか、今の会社の残れるように考慮することが必要となります。
解雇回避の努力を行っても、人員の整理をする必要が残り、整理解雇をせざるを得なくなったときは、30日以上前の解雇の予告化、平均給与30日分以上の解雇予告手当を支給するかの手続きが必要です。