営業職の従業員を事務職に配置転換させようと思いますが、このとき注意すべきポイントがありましたら教えて下さい。

入社退社

配置転換は、同じ企業内で、従業員の就業場所や職務の内容、職種に関して長期の期間にわたって変更する人事異動をいいます。この中で、転業場所の変更を転勤といい、会社の裁量で行えますが、従業員の同意がないときの制限は設けられています。

当該従業員の同意なしでも配転命令が可能な場合は、下記の3つのケースになります。(東亜ペイント事件―1986年7月14日、最高裁)
(1)採用する時に職種・勤務場所などを限る合意がされていないとき
(2)労働契約・就業規則に、業務に必要な配転を命令することを可能とする内容の定めがあるとき
(3)実際に、そのような定めによって配転が頻繁にされているとき

勤務地や職種が限定されて採用された従業員の場合、その条件が変わる配転をする時当該従業員の同意が必要とされます。また、相当な期間が過ぎて、一定の年齢を達したかのことも配転の可能性を左右する条件の一つです。
さらに、退職勧誘を拒否して行われる嫌がらせの配転命令などの妥当でない目的・動機で行われるものは、無効となります。

*過去の裁判例 九州朝日放送事件―最判 1998年9月10日
「長期雇用を前提としての採用の場合には、当分の間は職種がそれに限定されているが、相当な期間経過後、一定年齢に達した時点以降は他の職種に配転されるとの合意が成立していたと解される」