転勤は、勤務地を変更する配置転換をいいます。配置転換とは、業務に必要となれば会社の任意で行われますが、転居を同伴する転勤は、従業員の生活に影響が出ることから、ある程度の制限がかかっています。
過 去の裁判(東亜ペイント事件:1986年7月14日‐最高裁)では、転勤の命令が無効になる時は、業務上必要とされないとき屋業務上必要でもほかの適切で ない同期・目的で行われた時、従業員に対して常に甘受しなければならない程度を大幅に超過する不利益が負わせられるものであるとされた例があります。
入 社するときに転勤の可能性に関して示していない場合、転勤をさせたいのなら従業員個別の同意が必要となります。転勤の可能性の示し方に関しては、書面でな く口頭や求人広告などの記載でも認められます。勤務地や職種を限った労働契約に合意したときは、就業規則によって包括的な同意を得たとしても、会社側から の一方的な契約変更は不可能とされます。
職種が限られた採用のときも、組織の再編や新規事業の開設で、最初は予想していなかった配置転換が要求されるケースもあります。その可能性が少しでも予想できるのなら、労働契約を結ぶときに説明することがポイントです。
さらに、育児・介護休業法第26条によると、転勤を同伴する配置転換に対し、「子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」と
定められています。従業員の家族の介護や子供の養育の状況を把握して、何らかの配慮を施してから転勤の命令を行うことが望ましいと言えます。