試用期間は、従業員を採用する時に、その適性や能力の判断を行うために講じる期間を言います。パートタイマーの場合、会社側にその適性・能力を既に見せていると判断されることから、過去の裁判例などでも講じないことが適切であるとされています。
*ヒノヤタクシー事件(1989.8.16:盛岡地裁)
「雇用の開始に当たり、試用期間を設けることは当然に許されることである。しかし、雇用が継続中に試用期間を設けることは、試用という文言それ自体の趣旨から、原則として許されないものと解すべきである。このことは、労働者の合意があっても同様である。ただ、タクシー運転手として雇用されていたものが一般の事務員となり、あるいはその逆の場合のように新たに雇用したと同視できるような例外的な場合に限り、雇用途中の試用期間の設定が許されるものというべきである」
しかし、これまでパートタイマーとして従事していた業種と違う分野で正社員化する場合、試用期間を置くのは問題ないとされています。なお、パートタイマーとして従事していた期間が短いときも、試用期間が認められる可能性が高いです。
2008年4月から適用されるパートタイム労働法では、会社に下記のどちらかの措置を設ける義務が生じました。この措置はパートタイマーから正社員に転換をする時に適用されます。
(1)通常の労働者を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイム労働者に周知する。
(2)通常の労働者のポストを社内公募する場合、既に雇っているパートタイム労働者にも応募する機会を与える。
(3)パートタイム労働者が通常の労働者へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。
(4)その他通常の労働者への転換を推進するための措置