雇用契約書は、必ず交わす必要があるのでしょうか。

入社退社

労働条件の伝達に関するトラブルが生じやすいことから、労働基準法第15条で、会社に労働条件を明示することを義務と規定しています。
この中で明示しなければならない事項には、口頭で伝えてもいい「相対的明示事項」と書面で明示すべき「絶対的明示事項」があります。この中で相対的明示事項は、就業規則として定めている場合だけ明示しても構わないこととなっています。

相対的明示事項
*休職に関する事
*退職金に関する事項
*職業訓練に関する事項
*表彰、制裁に関する事項
*安全、衛生に関する事項
*従業員に負担させる食費、作業用品等
*災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
*臨時に支払われる賃金、賞与、最低賃金に関する事項

絶対的明示事項
*契約期間
*就業の場所および従事すべき内容
*退職に関する事項(解雇の事由含む)
*昇給に関する事項は、書面の交付は義務付けられていない
*賃金の決定、計算および支払いの方法、賃金の締切りおよび支払いの時期、昇給に関する事項
*始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、所定労働時間を超える労働の有無、ならびに交代勤務の場合は就業時転換に関する事項

実際の労働条件とこの定めによって明示された労働条件が異なったら、労働者は労働契約の即解除が可能です。さらに、就業を目的とする住居の変更を行っていた労働者が契約の解除から14日以内に帰郷をするときは、会社はその旅費も負担する必要があります。

このような労働条件を従業員に伝えるには、雇用契約書によって合意を得るか、会社側からの一方的な通知として労働条件通知書を従業員に説明して渡すなどの方法がありますが、伝達のトラブルを防ぐためには、雇用契約書を交わすほうが望ましいと言えます。
労働契約書は、入社日までに交わし、就業するにあたって、働き方や会社を理解してもらうようにします。就業規則の作成と届出義務が生じるのはいつも使用する労働者が10人以上になる事業所になりますが、10人に満たない事業所も社内のルールである就業規則を書いて、統一的な管理を行うことがポイントです。