社員を正社員から請負契約に変えたいと思いますが、注意すべきポイントがありましたら教えて下さい。

入社退社

民法第632条による請負契約の定義は、「当事者の一方(請負人)がある仕事を完成することを約し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」契約とされています。これに反して雇用契約は、民法第623条によって「当事者の一方(労働者)が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方(使用者)がこれに対してその報酬を与えることを約する」と定義されています。
請負契約は、個人事業者に仕事を発注する形になります。請負人に指揮・命令をすることは不可能で、仕事の時間配分などや進め方、仕事の発注を受けるかに関しては本人に任されることとなります。個人事業者に関して仕事の依頼をする形態で本当に可能であるかは、検討することが必要とされます。
社員を請負契約に返還すると、コスト削減につながるケースがあります。社員に対する厚生年金・健康・雇用・労災保険の適用はされず、残業代の必要もなくなり、有給休暇もなく、労働基準法の制限がなくなることなど、メリットはある形態です。
この請負契約に切り替えるときは、対象社員のこのようなことを徹底に説明して理解を得ることがポイントです。請負人は労災の適用対象に含まれないので、業務上の事故も休業補償・治療費などはなくなります。しかし、形式は請負契約でも、命令・指揮を受けて就労している場合は、労働者と同様の扱いになり、労働基準法の適用がされます。このことで社会保険料の発生や残業代の支給も必要となります。